高郷プロジェクトの実行委員とのミーティングで下記のような連絡を送った。
「地方公共団体などの主宰する地域活性化や地域おこしを目的としたアートプロジェクトが日本全国で乱立している。福島県の主宰する森のはこ舟プロジェクトも、それら乱立する「日本型」アートプロジェクトの一つであり(あった)、稲垣立男による高郷プロジェクトは、実はその枠組みの中で取り組まれてきたのだと言える。
実施している稲垣自身はアートによる地域おこしについては翻意としていないため、主催者の意図とは真反対の方向に走ろうとする取り組みは周辺から見た場合には身勝手で、理解困難なものにも思われよう。(主催者の地域活性への真摯な思い込みが強ければ強いほどさらに理解し難いものになるだろう。)
一方で、真反対に走ろうとする取り組み方は印象派、ダダ、ポップアート、ランドアート、ミニマリズム、コンセプチュアリズムなど現代美術史の歩んできた道でもあり、それぞれが始まった当初は難解であると(もしくはふざけるな!と)言われてきた。
アートプロジェクトを理解するためには、まずはアートについての基本的な考え方なり、概念なりを真摯に理解することは極めて大切である。
この企画の立ち上がった3年前から、プロジェクトに先行してコンテンポラリーアートの基本的な考え方や姿勢の問題について、大学教師でもある私自身が主体的にレクチャーすることが必要だったのではないかと遅まきながら感じ始めている。そうしたことの欠損もあり、森のはこ舟は地域アートの重みでズブズブと沈んでしまったが、コンテンポラリーアートの理論は本質的に軽やかで簡単に沈むことはないように思う。
これまでの高郷での営みは営みとして、簡単にはリセットすることはできないが、本来3年前にスタートするべきであった様々な事柄の最初のステップとしてこのミーティングを位置づけてみたい。」
Contents
- 開会宣言
高郷プロジェクト2017ミーティングの開会宣言
- 序論
ミーティングの進め方について
- 2017高郷プロジェクト報告
2016年度の高郷プロジェクトでは、2018年に向けて漆窪(漆)、荻野漕艇場(ボート)、カイギュウランド(カイギュウ、クジラの発見)小土山集落(棚田ウォークと集落のデザインワーク)、揚津集落(棚田オーナー)などのリサーチワークを高郷全域を実施した。11月には喜多方市役所で記録展を実施した。
- ワークショップ1
高郷プロジェクトについてのそれぞれの関わりと、地域について連想するワークショップを行います。
- 森の方舟プロジェクトについて
2016年、忽然と終了した森のはこ舟。なぜ福島のはこ舟は沈んだのか。
- ワークショップ2
あなたの考える福島の「森」と「はこ舟」について。森をどのように捉え、方舟をどのように捉えるのか。福島とアートプロジェクトについてのワークショップを行います。
- 2017-2018の高郷とアートプロジェクト
来年度以降の高郷におけるアートプロジェクトについて報告します。
- ワークショップ3
あなたの考える福島のアートプロジェクトについてのワークショップです。
- 閉会宣言
高郷プロジェクト2017ミーティングの開会宣言
- 結論
ミーティングの終わり方について
- 歓談
カレーを食しながらの歓談