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2007- present Doi Saket Project, Chiang Mai, Thailand

Compeung, Doi Saket, Chiang Mai, Thailand

 

This is a long-term project in a local community of Doi Saket, the suburbs of Chiang Mai, Thailand. Based in an artist-in-residency programme of Compeung, I have been conducting various art projects in collaboration with local residents. It started in 2007 as my solo project, and in 2008 my university laboratory students began to join.

The project includes workshops at the Wat Patumtaram Nursery (2007 – 2016), exhibition at the Doi Saket Market (2008, with the support from the Pola Foundation grant), and collaborative project with monks of the Doi Saket Temple (2009 – 2012).

By making a long-term commitment to the same community, I would like to explore the possibility of contemporary art practice with the local people.

2012

Workshop in Doi Saket Temple

Workshop in Wat Patumtaram Nursery

2011
Workshop in Doi Saket Temple

Workshop in Wat Patumtaram Nursery

2010
Workshop in Doi Saket Temple

Workshop in Wat Patumtaram Nursery

2009
Workshop in Doi Saket Temple
Workshop in Wat Patumtaram Nursery

2008
Doi Saket Museum
2008年7月27日〜8月16日
Doi Saket Market(タイ・チェンマイ)

2008年7月27日〜8月16日にかけて、ポーラ美術振興財団の助成によりタイ・チェンマイ郊外のドイ・サケットで地域コミュニティと共同のアート・プロジェクトを実施した。私にとってドイ・サケットでのプロジェクトは昨年のWat Patumtaram保育園で実施した実施した「Child hood Museum』に続き2度目となる。

今回のプロジェクトでは初めて法政大学稲垣立男研究室のメンバーが運営スタッフとして加わることとなった。プロジェクトは今回も同地域にあるアーティスト・イン・レジデンス”Compeung”に滞在しながらの実施となったが、Compeungを運営するアーティストのOngはじめ、2人のアーティストがサポートメンバーとしてプロジェクトを支えてくれた。今回はドイ・サケットのいわば街のインターフェイスとも言える青果市場を中心としたプロジェクトを実施することになっている。また昨年に引き続きWat Patumtaram保育園においても子ともたちとワークショップをすることになった。

Doi Saket Marketについて

Doi Saket地区にあるDoi Saket寺に隣接するDoi Saket Market(市場)は地域のコミュニティにとって生活の中心である。買い物はもちろん、生活に密着した様々な事柄と密着した場所である。この市場周辺の歴史を少し紐解いてみると、一番最初は20世紀初頭、Doi Saket寺の麓に、後に町の中心となる部分が作られた。カーン・ファダン・ドイ・ダン(街の最初の市長)は、市街地を作ることを決めた。そして最初の市長によって最初の市街地が今の市場の北西に設立された。市街地が拡張され、人口が増加した。そして市場は今の場所に移動せざるをえなくなった。昔の市場は土の地面だった。販売業者は陳列台を持っている者も、持たない者も両方いた。基本的には業者は品物を竹の籠やバナナの葉の器のような天然素材の容器に入れて並べていた。また、一部の業者は大きな紙製の傘を、日光や雨から商品を守るために持っていた。人々はまた、公共水道を洗濯や飲用として使っていたのはもちろんのこと、乗り物であった彼らの家畜にやるためにもよく使っていた。第二次大戦では、この辺りには防空壕があって、日本兵がよく歩いていた。当時はチェンマイに行って取引をしようとする人は、2輪車に乗っていく必要があった。Doi Saketから行くには、2輪車で早くても半日かかった。また、行商人の隊列が2つの都市を行き来していた。チェンマイとチェンライの間で、彼らはかならずここに立寄り、休養したり商売をした。当時のこの街は、今で言うところのバス停留所か中継地点といったところだろう。田舎は次第に現代化の道を進んでいった。市場もすこしずつ進歩した。新しいマーケットが地方法に従って始まったのは1994,5年頃で、2004年にすべての改装工事が竣工した。昔の人々は竹で作られた低い陳列台で商品を並べていたが、今は陳列台は高いコンクリート製になり、電気、排水溝、スピーカー、換気扇と高い屋根を備え、整然と配置されている。

調査活動
あらかじめCompeungにお願いして、Doi Saketのマーケット内でアート・プロジェクトを実施したい旨をマーケットのオーナーに打診してもらい、快諾していただいた。

あらかじめ取材についてマーケットで働く人々にアナウンスしておいたもらった。学生スタッフとビデオカメラ片手にマーケットの人たちにインタビューをした。インタビューの内容としては、マーケットのこと、Doi Saketでおこった出来事、のこと、お店や商品のこと、家族のことなどマーケットの人々の生活に関することについて全般的にお話を伺った。

博物館の制作
リサーチと平行して、マーケットの中につくる博物館の建物や展示場所、博物館内の展示物などのデザインを検討し始めた。現地、しかもマーケットの中や近所で購入できる材料を使って制作することとした。

博物館の公開
マーケットには地域のほとんどの人々が一日に一度は来る場所なので、当然のようにこの博物館には多くの人が訪れた。マーケットの人々からは、博物館に展示してあるものは自分の友人であったり、自分たちに関係した事柄やものなので、親しみを持って受け入れていただいた。

このプロジェクトを通じて、個人から広がる地域と場所との関係が目に見える形になり、生活や地域の表情がわかりやすい形で人々に示されていく。そのことがさらに地域でのコミュニケーションを生み、人々と地域により密接な関係を作り出す結果となる。プロジェクトが地元の人々や外から訪れる人々が集い、憩い、自分達の考えや思い出を語り合ったり、自分の故郷や愛する人々との関係に想いを馳せる場所になる。人々が繋がり、お互いの様々な考えを交換できる有機的な場を創ることができたのではないかと、自負している。


昨年に続きWat Patumtaram保育園でワークショップを実施した。昨年のワークショップでは、通訳などでCompeungのスタッフに手伝ってもらいながらも、実質私1人で実施したが、今回は研究室の学生が参加することになり、プログラムの内容について話し合いながら検討し、ワークショップを実施した。

保育園には昨年と同じ顔ぶれの子どももいて、1年経って1歳だけお兄ちゃんやお姉ちゃんになったわけだが、いっさい違うことでそれだけの成長の跡が見られた。既に卒園した子どもも何人かいて、すでに上の学校に進学したそうだ。この保育園には山岳民族出身の子どもも多く、それぞれが独自の言語を持っているので、Compeungのスタッフに通訳をお願いしていたが、プログラムを進行した。

8月4日〜8月7日と8月15日〜18日のプログラムの内容については稲垣単独で考え、8月8日〜14日のものについては片寄、宮内、飯島、高橋、照井、吉成ら学生が稲垣とディスカッションを重ねながら内容を検討した。ワークショップに使う材料などは昨年に続いてマーケットなどローカルで手に入るものを使い、前日に準備をした。

実施プログラム
実施したプログラムは以下の通りである。尚、プログラムのうちについては稲垣が、が担当し、プログラムの実行についてはみんなで行った。

1 うみのいきもの やまのいきもの
2008年8月4日

段ボール、クレヨン、ペンなど

2 おめんづくり
2008年8月5日

段ボール、クレヨン、ペンなど

3 シールあそび
2008年8月6日

シール、紙

4 ロボット君
2008年8月7日
段ボール、いろがみ、のり

5 こすりだし
2008年8月8日
厚紙、紙、クレヨン、オブジェ

6 いえのなかのもの
2008年8月11日
段ボール、クレヨン、ペン ガムテープ

7 ねんどのおくりもの
2008年8月13日
ねんど、包み紙、リボン

8 おとあそび
2008年8月14日
空き缶、ペットボトル、その他

9 ゆうたくんへのてがみ
2008年8月15日
ゆうたくんのしゃしん、かみ、鉛筆、クレヨンなど

10 みんなのいえ2
2008年8月18日
段ボール、ガムテープ、絵の具、木の葉、マジックペンなど

2007
F Gallery、チェンマイ、タイ

はじめに
美術館やギャラリーなど、美術鑑賞の場において、現在様々な年代に対するワークショップ実施されている。元々はそうしたワークショップを実践研究するためにアーティストインレジデンスに滞在して研究を行うことがそもそものはじまりであった。そうした条件を満たすレジデンスがあり、滞在して研究を進めることにした。

タイ・チェンマイでのワークショップ
2007年7月30日ー8月29日、タイ・チェンマイ郊外のドイ・ソケット地区にあるアーティスト・イン・レジデンス”Compeung”に滞在し、レジデンスから歩いて数分のところにある”Wat Patumtaram保育園”においてワークショップを実施した。

ワークショップの対象年齢は0歳児から3歳児までの保育園児たちのうち、年齢の高い2歳児と3歳児である。ワークショップのプログラムの内容については、事前に計画したものに加えて、子どもたちとの毎日の遊びの中でひとりひとりの興味や能力を探りながら全体のプログラムを決めていった。私自身がタイ語が理解きないこと、また同保育園には言語の違う山岳民族の出身の子供も多いことから基本的には言葉に頼らない方法でワークショップを進行することにした。言葉が必要な場合にはCompeungのスタッフに通訳として参加していただいた。

Wat Patumtaram保育園について
子どもたちのお昼寝時間に、保育士さんから保育園での教育方針や実践に関してお話を伺いた。Wat Patumtaram 保育園はPatumtaram 寺が運営していて、このお寺に隣接している。14年前にスタートして、彼女は13年前からこの保育園に勤めていて、以前は市内の保育園にいらしたとのことであった。子どもたちそれぞれが経済状態、家庭環境など、事情の違う家庭から来ているということで、まずはそうしたことを踏まえつつ、よい人間になるにはどのように行動すべきなのかということを第一に子どもたちと接しているということであった。

保育園の目指す具体的な教育内容は、

  • improve experience
  • body movement
  • outdoor activity
  • educational game
  • creativity
  • freedom

の6つのカテゴリーをバランスよく教育していくことであり、美術教育については5のcreativityの範疇で実施しているということだった。保育園で最近行った課題としてはのは、プラスチック製のミルクパックをおうちから持ってきてもらい、それで衣装を作ってダンスをするというものを実施したということである。 他の機関との連携については、例えば市内の美術館や博物館のプログラムに参加することはこれまでなくて、このようなプログラムも今回が初めてということだった。

7月30日にチェンマイに来てしてから、周辺環境のリサーチやプログラムの内容の検討、材料の準備をして、8月6日よりワークショップを開始、10時30分から11時30分までの約1時間のワークショップを8月20日まで実施した。(保育園がお休みの土、日、祭日は実施せず)ワークショップの材料などについては、地元で手に入りやすい素材を選んで使用した。これは今後同様のワークショップが保育園で自主的にで開催できることや子供たち自身で自発的に実施する場合のために、特殊な材料を使用しないようにしたためである。

実施したプログラムは以下のとおり。

1 ドローイング・自由に描く
日時:8月6日
材料:紙、クレヨン、えんぴつ、その他

2 新聞で飾ろう
日時:8月7日
材料:新聞紙

3 ドローイング
日時:8月8日
材料:紙、クレヨン、えんぴつ、その他

4 コラージュ
日時:8月8日
材料:紙、新聞紙、クレヨン、えんぴつ、その他

5 コラボレーション ペインティング
日時:8月9日-10日
材料:おともだち、紙、クレヨン、えんぴつ、その他

6 園庭でフィールドワーク
日時:8月14日
材料:買い物用ビニール袋

7 日本の友だちに手がみをかこう
日時:8月16日
材料:紙、クレヨン、えんぴつ、その他

8 コンペグ見学
日時:8月20日
材料:あるくこと、うたうこと

9 コンペグハウス
日時:8月20日
材料:みること、しらべること

10 みんなのいえ
日時:8月20日
材料:段ボール、絵の具、紙、クレヨン、えんぴつ、その他
保育園以外の場所、通りやマーケットなどで子どもたちやご家族のみなさんともよく会い、また地域の保育園の連合運動会等にも参加して、一ヶ月の滞在期間にみなさんとすっかり仲良くなった。また、ひとりひとりの日々の生活生活や家庭環境などについても少しずつ理解が深まっていった。

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